言葉の流れる河

河が流れている。

どこから流れているのか、どこに流れているのか、どこまで流れているのか、誰も知らない。

それでもただ悠然と、河は流れている。

 

A「彦星と会えますように」

B「ケーキ屋さんになれますように」

C「戦争がこの世から無くなりますように。あとお金持ちになれますように」

D「おとうさんのどなーがみつかりますように」

E「時を止める能力が身につきますように。(透明人間になれる能力でも可)」

F「憎いあの人が、私を不幸にしたあの人が、できるだけ不幸な人生を送りますように」

G「今がずっと続きますように」

H「三菱商事に内定してCAと付き合えますように」

I「一日でいいから、退院して家で嫁と過ごせますように」

J「あのアイドルのライブのチケットが当たりますように」

K「”産まなきゃよかった”って言うお母さんに、ごめんなさいって言えますように」

L「今の醜い顔面を捨てて、もっと綺麗になれますように」

M「誰にも迷惑をかけず、人知れず、ひっそりと死ねますように」

N「かれこれ1年以上指名し続けているルリちゃんが枕してくれますように」

O「二人でずーっと一緒にいられますように♡」

P「私のことを、世間が、社会が、もっと正しく評価してくれますように。そして、今の私の不幸は親や教師や電通自民党のせいでありますように。」

Q「あの人が早く奥さんと別れてくれますように」

R「二人でずーっと一緒にいられますように♡」

S「暴力が無くなりますように」

T「東京にいる息子が元気でいられますように」

U「ワクチンの真実を人々が知ってくれますように」

V「6年前の罪が許されますように」

W「死後、救済されますように」

X「担当がナンバー入れるように、もっとデリの指名が入りますように」

Y「終わりませんように」

Z「織姫と会えますように」

 

言葉が思考を作り、思考が願いを作り、願いが世界を作る。

言葉が世界を作るのであるし、言葉で世界は作られなければならない。

 

 

河が流れている。

流れているのは、時間かもしれなければ、歴史かもしれない。それらは、或いは同じなのかもしれない。

「なんであれ、流れるのはこの河だけでいい」

そんな願いも飲み込んで、ただ、河は流れている。