クズ男くん。都合の良い女ちゃん。

僕ももう20歳になった。

 

10代を駆け抜けた。

 

何が変わったのか。

何が変わらないままなのか。

 

過去を振り切るように街を歩けば、「ドルチェ&ガッバーナの香水のせいにする曲」が耳に入る。

 

記憶にすがるようにベッドに入り、スマホを開けば、「別の人の彼女になった曲」が部屋に流れる。

 

世の中は、退廃的な言葉を求めている。

 

「缶ビール」「タバコ」「セフレ」

 

そういった言葉が「エモい」の一言に帰着し、一定数の若人の胸を打つ。

 

「クズ」が求められている。

 

 

僕が思うに、世の若者は皆、男も女も問わず、クズになれば良い。

 

遊び散らかせば良い。

 

愛情の無いキスを重ねれば良い。

 

「ワンチャン」を狙ってご飯に誘えば良いし、

 

「好き」とは一度も言ってもらえてないけど、いつかは自分の物になると信じて、深夜の呼び出しに応じれば良い。

 

付き合う前にセックスしてしまえば良いし、

 

都合の良い存在になるだけと分かっていて、そんな自分に酔えば良い。

 

女の子が悩んでそうだったら、「どしたん?話聞こか?」ってLINE送れば良いし、

 

彼女持ちの男がちょっとでも不満を漏らそうものなら、「彼女さん、ちょっと重いね(笑)」って言えば良い。

 

寂しいから浮気すれば良い。

 

恋人からの連絡を無視して別の人間と寝れば良い。

 

元恋人と連絡を取り続ければ良い。

 

皆んなクズになれば良い。

 

 

そんな経験が早ければ早いほど良い。

 

大学生になってから酒と異性を覚えてイキらないようになれば良い。

 

クズな自分に酔わないようになれば良い。

 

深夜にストーリーが荒れないようになれば良い。

 

刹那的な快楽に身を委ねないようになれば良い。

 

純粋な頃の想いこそ尊いと気が付けば良い。

 

「あの頃」の恋人とは、もう話すことが出来ない事に胸を痛めれば良い。

 

「エモい」と「空虚」は違うという事を気が付けば良い。

 

虚しいだけだと気が付けば良い。

 

今の自分は「空っぽ」だと気が付けば良い。

 

 

そんな経験を重ねて、大人になれば良い。